使うライトが決まったら、次に構造を検討します。
設計する際にまず考えたのは、
「ライトと刀の適切な距離を見つける」ことです。
そのためには実際に刀にライトを当てながら、適切な距離を探るしかありません。
アナログですが、刀を置いてライトを手で持ち距離を変えながら探りました。
博物館などではケース外からライトを当てるので、ライトから刀までの距離を稼げる(より光の配光角度が大きくなるので刀身全体に光が届きやすい)のですが、ケース内にライトを付ける事の問題点として、ライトと刀身の距離が近い事が挙げられます。
ケース内でライトと刀身の距離を稼ごうとすると、ケースの形がだんだん縦に伸びていくので、ケースの形が長方形から正方形に変わっていき、サイズも大きくなってしまいます。
人間がパッと見で美しいと感じる縦横比率は、テレビの「16:9」や「4:3」などとある程度決まっているそうです。
なのでそのサイズに落とし込みたいという思いは根底にありました。
となるとその比率にするためにも、刀身まで30~40cm程度の距離で綺麗にライティングしないといけません。
40Wの電球などもこの距離で刀に照らすと綺麗に見えません。
ここがレフ電球などの採用を避けた理由でもあります。
他にも電球自体が高温になりケース内温度が上がるなどの弊害もあります。
以下は作ったケースでの刃文や地金の見え方ですが、LEDで刀身までの距離が30~40cmと近くても、工夫次第でこれだけ見えます。
ライティング実験の段階で上記程度に見える事が分かったので、
刀用は16:9、短刀用は4:3の比率で作れる確信が持てました。
ケースの横幅ですが、刀用は1200mm、短刀用は600mmにしました。
写真に飾っている刀は2尺3寸3分(70.6cm)、短刀は9寸6分(29.1cm)です。
拵えを飾る場合は、刀用で1400mmくらいにしておけば大体すべての刀を飾る事が出来ると思います。
(今回は我が家の部屋の狭さと、拵えが付属していない都合で1200mmにしました)
1200㎜でも拵えは飾れるのですが、結構窮屈になり見た目がどうなるか、ちょっと心配です。
多くの博物館や美術館を見に行くと、美術品を飾る際、空間の演出に気を遣っている事がわかります。
陳列品同士には適切な距離が取られており、ぎゅっと詰まって並んではいません。
そこから考えても拵えを飾る場合はもっと大きく作る事がベストと思います。
ライトと刀の位置関係、横幅、縦横比率が決まれば、他の細かい寸法も必然的に出てきます。
今回は設計する上でのとっかかり部分を書きました。
次回はパソコンを使った3Dモデリングについて書いていこうと思います。
今日も読んで下さりありがとうございました。
それでは皆さん、良き刀ライフを~!
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