​中村圭佑 | 刀箱師

Keisuke Nakamura | KATANA CASE SHI

2018年に初めて日本刀を購入後、毎日眺めたい思いから刀を部屋に飾れる展示ケースの製作を開始。専念するため会社を退職し、「刀箱師」として活動を開始。

前職は大手メーカーで10年ほど製品開発に従事。

鋼板や金属棒、樹脂、木工、成形品など様々な素材を用いた製品設計を学ぶ。

そこで得た知識を用いて刀を家に安全に美しく飾れる展示ケースの開発を独自で行っています。

製作する展示ケースのコンセプト

「刀とくらす」

「どこでも、そこだけ美術館」

「刀は現代では何の役にも立たないし怖い」という認識が世間一般的な感覚に多いようです。

しかし絵を飾る人は沢山います。その違いは何でしょうか?怖くないからでしょうか?

私は違うと思います。

絵が人々の暮らしに溶け込み、その絵を見て明日も頑張ろうと思える精神的な支えとして、そして感受性を高め、部屋を彩る事が出来るからです。

刀を手に取って見た事のある人はその美術品としての高い芸術性に皆驚きます。

そして一様に言います。「怖いと思っていた印象が変わった」と。

しかし現代では刀を見る機会が無くなったことで「使えない、怖い」という刃物としての一面だけが一人歩きしてしまいました。

恐らく子供の時から部屋に刀が飾ってある環境で育った子供は、少なくとも大人になってから刀を怖いと思う事は無いでしょう。

私は絵を飾るような感覚で日本刀を美術品として部屋に飾る、「刀とくらす」というライフスタイルを多くの方に知って頂き、多くの方が抱く刀へのイメージを少しでも変え、次の世代に残していきたいと考えています。

また部屋に飾るからには、設置環境に左右されずどこでも美術館のように展示出来るものを作りたいと考えています。

その為に、美術館の展示ケースの構造を学びながら刀を安全に保管管理する方法を考え、同時に漆などの伝統技術も用いながら刀の持つ美を引き出す方法を日々考えています。

展示ケースの安全面と取り扱い

ケース内には自動調湿機を入れていません。

理由は、その機能を過信してしまい日々の確認を怠る可能性がある為です。

その機械がもし壊れてしまっていたら気づかないうちに刀を錆びさせてしまうかもしれません。

古来から日本刀は休め鞘に納め金庫や刀箪笥に入れて保管され大切にされてきました。

昔は温湿度管理が難しかった事もありこのような風習が今尚続いていますが、家電が発達し温湿度管理がしやすくなった今、住宅でも環境管理がし易くなっています。

その為、ケースに飾る際は室内に加湿器や除湿器などを置いて頂き、ケース内に設置された温湿度計を見てケース内の環境が適正に保てているか確認して頂くという「ひと手間」をあえて加えています。毎日少しでも刀の事を気にかけてほしい、という思いも込めています。

とはいえ急激な湿度変化は大敵ですので、それを防ぐ為にケース内には調湿材を入れています。

また、盗難防止と子供のいたずら防止として、鍵を複数付けています。

フロントドアやサイドパネルには透過性の高いアクリルを採用。ガラスと同レベルで刀身を綺麗に見ることが出来ます。(ガラスの採用を避けたのは、切っ先がガラスに当たった際に刃がかける事を防ぐ為です。アクリルはガラスよりも柔らかい為その心配がありません。)

刀身を置く部分には防水性とクッション性の高いスポンジゴムを使うことで接触面の錆びを抑えると共に、地震でも刀身がズレにくく落下しづらい工夫を施しています。

​展示ケースづくりの先に

刀は昔から邪気を祓う神器として床の間に飾られ大切にされてきました。

昨今私を含む若い方の間や、海外の方で日本刀に興味を持つ人が少しづつ増えてきており、実際に購入に至る方も増えているようです。

刀は見ていると不思議と活力を貰えます。部屋に飾った刀を毎日見る事でその人の日々の生活がより良くなることを願っています。

そしてそれを見た別の人が「刀って美しいな」と興味を持ってくれる、そんなスパイラルを起こせると嬉しいです。

また、刀剣ブームの今、地方のお寺や神社など収蔵している名刀を多くの人に見てもらいたいと思っている方の中にはライトなど施設の環境で適切に展示出来ない、展示の仕方が分からない所も多いと思います。

ケースには適したライトが付いており、刀の保管環境も整っている為、コンセントに繋ぐだけで美術館のように美しく展示出来ます。

レンタルもしていますので、そういった方のお力になれると私としてもこの上ない喜びです。

大切に受け継がれてきた日本刀ですが、興味を持つ人が減ってしまうと後世に残せません。

1振でも多くの日本刀を綺麗な状態で後世に残したい。

私のケース作りがその一助になると嬉しく思います。